二度目 惚れ
2012年 02月 27日
今もそっくりそのまま飾られている
60年の貫禄 柔らかい眼差し かつらの薄い毛の中は脱脂綿で盛りあげてある
あったか優しいお顔の表情は 現代雛にはない愛らしさ
着物のあせた色合いも尚更 趣を感じさせるからちょうどいい
母の雛人形に最近
二度目惚れ中です
私のお雛さまはね
祖母が昔買ってくれた 四角い硝子ケースに入った型だった。
お雛様とお内裏様 あと三人官女と桃の花。だけの
質素なものだったけど
あれをみると いよいよ春をまたぐのだなあと
幼心にも 気持ちをあらたにさせられてたっけ
ふつうの家ならきっとどこにでもある
家のあちこち随所にある記憶の迷い道への入り口は いつしかなくなっていく
お引越しっ子 だったうちには
あの硝子ケースは重すぎた。
部屋の真ん中 お目見えする時期はたった数十日なのに
春夏秋冬・・・硝子とお雛はずっと暮らしてなきゃならない
んだってこと
ごめんね かたく閉ざされた硝子箱の真珠貝の
本当の味を知らなかった・・・あの時は。
古いもの・迷ったもの・躊躇したもの
磨けば磨くほどわかる そのときが二度目惚れの瞬間
カタチあるもの いつかは朽ち果て
でも刻んだ時間の感覚は鮮明に残る
by ZEROYOGA
| 2012-02-27 12:25
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